ベトナム投資環境概要と日系企業進出状況
ベトナム投資環境
市場の開放
1986年: ドイモイ(刷新)政策(社会主義計画経済の行き詰まりから、対外開放政策、市場経済メカニズムを導入)
1994年: 米国が対越経済制裁を解除(第一次投資ブーム)
2007年: WTOに加盟(第二次投資ブーム)
2009年: 流通及び販売の国内市場を開放へ
2010年: 酒類販売の国内市場も開放
安定した政治体制および社会体制
共産党の一党独裁体制で政変もなく安定しています。国民の多くが仏教徒であり、事業運営上も宗教的な制約がない点も特徴です。治安も周辺諸国に比べれば概ね良好です。
優遇税制
法人所得税の標準税率は20%です。以前は輸出加工区への進出へは優遇税制が採られていましたが、現在は撤廃されており、輸出加工型の企業進出の足枷の一つになってきています。ベトナム政府としてはローテクの工場誘致ではなく、ハイテク産業誘致へと軸足が移ってきていることの表れでもあります。

優遇条件一覧
対象 税率 優遇期間 優遇内容
社会的・経済的に困難な地域への投資 17% 10年 2年免税、
4年半減
特に社会的・経済的に困難な地域への投資、ハイテク、科学研究などの分野への投資 10% 15年 4年免税、
9年半減
その他税制(事業登録料、個人所得税)
事業登録料は、毎年一定の税額が課されます。資本金額に基づき税額が定められています。

資本金額 事業登録料
支店、駐在員事務所、営業所 1,000,000VND
100億VND以下 2,000,000VND
100億VND超 3,000,000VND

個人所得税は、居住者へは全世界所得に対し5%から35%の累進税が課されます。非居住者へはベトナム源泉所得に対し一律20%の課税となります。
労働力
ベトナムに投資するメリットのひとつは、安価な労働力を活用することで生産コストを抑えた企業活動が可能になることです。以前は多くの日系企業が安価な労働力を享受するため中国に進出していましたが、経済発展と共に人件費が上昇し中国の優位性が低下したため、相対的に人件費が低いベトナムへの進出へシフトするケースが増加しています。しかし、ベトナムでも年々賃金が上昇しており、優位性が相対的に低下する可能性が出てきました。また、労働者の定着率の低さも懸念事項の一つです。一方、労働力の質については、平均年齢が若く、勤勉なことから生産性が高いといわれています。国民性も穏やかで組織に従うという日本人気質と共通する部分も見受けられますが、集団気質により違法ストも発生しますので注意が必要です。
経済成長
1990年代半ばには成長率が9%を超え、2018年の成長率は7.1%です。
日系企業進出状況
進出状況
日本外務省によると、2018年10月現在、進出日系企業拠点数は1,920(ホーチミン:1,143、ハノイ:777)、在留邦人数は22,125人(ホーチミン:12,414人、ハノイ:9,711人)に及びます。
輸出加工基地からの転換
リーマンショック後は、輸出加工型の進出形態は減少しており、プラントや橋梁、新幹線、地下鉄、水道事業などのインフラ関係への投資や国内市場をターゲットにしたサービス産業、小売事業・外食産業への参入を検討する企業が増えてきています。2009年から小売事業への外資100%での参入が認められ、コンビニのファミリーマートやイオンモールがオープンしています。2013年に小売事業ライセンスに関して規制緩和が行われたこともあり、これから益々小売事業が注目されると予想されます。
日系企業の課題
投資への慎重さから、韓国(ロッテマート、ダイヤモンドプラザデパートメントストアー)、台湾系企業(7区PMH新興住宅地開発)に出遅れています。東南アジア随一の消費意欲の高い(マスターカード調査より)9,000万人の消費市場を攻略するためにどのように進出していくかが今後の課題になると思われます。